鈴木義和のホームページ: エネルギーセラミックス材料の研究開発

Updated on January 30, 2021
自己紹介
名 前 鈴木 義和 (すずきよしかず)
誕生月 1970年12月
出身地 大阪 (こ・て・こ・ての大阪人)
勤務先 筑波大学 数理物質系物質工学域
 (担当: 大学院数理物質科学研究科 物性・分子工学専攻)
 (担当: 理工情報生命学術院 数理物質科学研究群
        応用理工学学位プログラム 物性・分子工学サブプログラム)
 (担当: 理工学群応用理工学類 物性工学主専攻)
略 歴 【学歴】
1989.3 大阪府立高津高等学校卒業 (わがー、高津♪)

1993.3 大阪大学工学部 応用精密化学科卒業
1995.3 大阪大学大学院 工学研究科 プロセス工学専攻 博士前期課程修了
1998.3 大阪大学大学院 工学研究科 物質化学専攻 博士後期課程修了 博士(工学)

【職歴】
1995.4 日本学術振興会 特別研究員DC1 (博士後期課程在学中)

1998.4 通商産業省 工業技術院 名古屋工業技術研究所 研究員
2001.4 独立行政法人 産業技術総合研究所 シナジーマテリアル研究センター 研究員
2002.4 経済産業省 製造産業局 材料技術戦略室 室付
2003.2 経済産業省 製造産業局 ナノテクノロジー・材料戦略室 室付

2003.5 京都大学 エネルギー理工学研究所 助手
2007.4 京都大学 エネルギー理工学研究所 助教
2011.3 筑波大学 大学院数理物質科学研究科 准教授
2011.10 筑波大学 数理物質系物質工学域 准教授 (現在に至る)  
← 今ここです。

【兼担(学内)・兼任(学外)】
2003.5 京都大学大学院エネルギー科学研究科 エネルギー基礎科学専攻 助手 (〜2007.3)
2006.4 京都大学 生存基盤科学研究ユニット 研究フェロー(〜2010.3)
2007.4 京都大学大学院エネルギー科学研究科 エネルギー基礎科学専攻 助教 (〜2011.3)
2006.10 パリ国立高等鉱業学校 エネルギー・プロセス研究センター 客員教授 (〜2007.9)
2008.5 ストラスブール第1大学(ルイ・パストゥール大学) IPCMS 招聘教授 (〜2008.6)
2008.11 ストラスブール第1大学(ルイ・パストゥール大学) ECPM 招聘教授 (〜2008.12)
2012.6 Sud Toulon-Var大学 Maitre de Conference (准教授) (〜2012.6)
2013.5 筑波大学 北アフリカ研究センター 准教授 (兼担) (〜2016.3)
受 賞 2001.5 第55回 日本セラミックス協会進歩賞
2006.10 Robert L. Coble Award for Young Scholars (The American Ceramic Society)

2013.10 ACerS Ceramographic Exhibit and Competition, 1st place in Optical Microscopy
2016.6  日本セラミックス協会 2015年度優秀論文賞
2018.9 接合科学共同利用・共同研究賞
2019.6 粉体粉末冶金協会 研究進歩賞
2019.6 日本セラミックス協会 フェロー
科研費 https://kaken.nii.ac.jp/search/?qm=40357281
Reseacher ID
http://www.researcherid.com/rid/N-3525-2015
ORCID http://orcid.org/0000-0002-4418-6893
資 格 ・エックス線作業主任者(2000年8月取得)
・甲種危険物取扱者(2001年3月取得)
・第1種衛生管理者(2003年11月取得)
・衛生工学衛生管理者(2004年6月取得)
所属学会 ・日本セラミックス協会(1993年〜)
・日本化学会(2010年〜)
・粉体粉末冶金協会
・The American Ceramic Society
連絡先
(鈴木義和)
〒305-8573 茨城県つくば市天王台1-1-1 筑波大学 数理物質系 物質工学域

TEL: 029-853-5026(直通), FAX: 029-853-4490 (専攻事務室)
特技(?) フランス語: 仏検2級、欧州評議会認定レベルB1
英語: 英検準1級、TOEIC L475・R470・Total945 (2019/3/10 第238回)

CV in English
Open or download from here (PDF: 47 kB) 

国際共同研究
日仏共同研究について
 2006年10月以降、フランスEcole des Mines de Paris(国立高等鉱業学校、グランゼコル)と共同でTiO2エアロゾル/TiO2ナノワイヤー複合材料の合成、非平衡プラズマを用いた粉体の部分窒化処理などを行っています。
教員時代の研究紹介(京都大学・筑波大学)
三次元ネットワーク多孔体
  詳細はGreen Materialsのページをご覧ください。
1次元ナノ材料の研究開発と新エネルギーデバイスへの応用
 詳細はBasic ScienceおよびSolar Cellsのページをご覧ください。

静電噴霧熱分解法によるナノ材料合成
 京大エネ科東野研究室、東北大多元研関野先生、フランスSud Toulon-Var大学Jean-Christophe Valmalette先生との共同研究です。静電噴霧熱分解法による酸化チタン球状粒子の合成に加え、Cu2O薄膜の合成なども行っています。写真は、2013年ACerS Ceramographic Exhibit & Competitionにて光学顕微鏡部門で1位入賞したパネルです。

研究員時代の研究紹介(工業技術院・産総研)
新規セラミックス多孔体の開発 (シナジーセラミックスプロジェクト 

 1999年4月から2002年3月までの3年間、シナジーセラミックスプロジェクトの一環として行った仕事です。
私の工業技術院名古屋工業技術研究所(その後、産業技術総合研究所)でのメインテーマのひとつです。

 高温特性や流体透過性に優れた新規のセラミックス多孔体を開発を目指したもので、非常に均質な3次元ネットワーク構造をもつ多孔体を開発することができました。環境や人体に対する影響も小さく、低コストで安全な材料です。バルク状の多孔体中には約1ミクロンの非常に均一な開気孔が分散しています。

 下のパネルは、第102回のAmerican Ceramic SocietyのCeramographに出品したものです。J. Am. Ceram. Soc. 2000年10月号のInside coverに掲載されています。

構造/機能セラミックス複合材料の創製(超塑性、磁性、イオン導電性etc.)

これも私の名古屋工業技術研究所時代でのメインテーマのひとつです。科学技術振興調整費の「流動促進研究制度」という、若手研究者向けの予算をいただくことができ、超塑性を発現可能な酸化物系ナノ複合材料で、構造・機能調和材料を目指すというものでした。

「粒界構造の解析・制御」を中心としたもので、学生時代の私の研究とはかなり毛色の異なる研究です。ジルコニアなどの酸化物セラミックスを研究する大きなきっかけとなりました。

   

学生時代の研究紹介 (大阪大学)

天然原料からのナノ複合材料合成
天然鉱物を原料としたナノ複合材料の開発 私が大阪大学産業科学研究所新原研究室に在籍していたときのサブテーマの一つです。産研に客員教授として来られていたRockwell Science CenterのPeter Morgan先生に師事していたときに設定したテーマです。モーガン先生が昔やられていた、天然鉱物の焼結の研究を背景に、新原研で導入した新兵器、高温SEMと高温X線を組み合わせて研究を進めました。実際に研究していた期間は1年弱ですが、なかなか愛着のあるテーマです。

下の図は、第99回のAmerican Ceramic SocietyのCeramographに出品したものです。残念ながら賞は逃しましたが、J. Am. Ceram. Soc. 1998年4月号のInside back coverに掲載されています。

ドロマイトのX線回折パターンの解析
 上の研究から派生して、ドロマイトのX線回折パターンのアップデートにもチャレンジしました。ICDD-JCPDSの専門誌、Powder Diffractionに掲載されています。私にとって、X線回折を勉強する非常に良い機会になりました。(ついでに、Excelも...)また、これをきっかけに、天然鉱物が好きになりました。

阪大の客員教授として来日されていた、P. E. D. Morgan先生に「貸し出し学生」として3ヶ月間ついていたのですが、英語も含めてずいぶんと鍛えていただきました。今でも鍛えていただいています(笑)

(私が好きなマンガに、ダイの大冒険というのがあります。登場人物にポップというひとがいますが、学生時代を考えると、ちょうど、アバン先生が新原先生で、モーガン先生がマトリフ師匠、という感じでしょうか。これで分かる人には分かるでしょう。)

高強度・高性能MoSi2基複合材料の開発
 私が学生時代、大阪大学産業科学研究所新原研究室に在籍していたときのメインテーマです。4年生の時に新原先生にこのテーマを頂いてから、いろいろと手を広げて来ましたが、ベースはやはりMoSi2でした。この材料は、本当に面白いです。また、この研究から派生して、Mo<5Si3C<1単相合成などもやってました。(案外、派生した研究の方が、Referされてたりしますが(^^;))

この研究に関しては結構論文を書きましたので、興味があるかたは、論文リストをごらん下さい。

コーヒーブレーク
2014.3.5 
久々に、J. Am. Ceram. Soc. を個人購読
 2014年分から、ひさびさ(約5年ぶり?)にJ. Am. Ceram. Soc.を個人購読することにしました。電子ジャーナルも便利ではあるのですが、やはり手軽にぺらぺら、っと眺めることができる冊子体は良いものです。さて、昨日ようやく届いた1月号について、FeatureやCommentも含めた全投稿49件の国別内訳をざっと調べてみました。第1著者の所属別にみると…
 中国18件、米国11件、韓国3件、ロシア3件、インド2件、フランス2件。このほか各1件がスロベニア、イギリス、日本、オーストリア、ドイツ、ブラジル、スイス、ギリシャ、ベルギー、オーストリアでした。うちのラボは、最近、J. Ceram. Soc. Jpn.に論文を出すことが多いのですが、この状況をみるともっと頑張らないといけませんね…。
2013.10.3
TIMES HIGHER EDUCATION
 大学関係者には色々とプレッシャーがかかっている例の「大学ランキング」ですが、TIMESのものが昨日公開されました。筑波大学は、国内10位と健闘しているのですが、世界的には「301〜350位」のランクに入っており、まだまだこれから、ということのようです。うちのラボも一人ひとりが頑張れば、大学全体のランクアップに貢献できるかもしれません。一喜一憂するのも何ですが、高いに越したことはないので、今後も要フォローといったところです。
 データベースの紹介文は、「Tsukuba professor Shirakawa Hideki was joint winner of the 2000 Nobel Prize in Chemistry for discovering and developing conductive polymers. The school motto exhorts its students to "Imagine the Future", but its progenitor, the Tokyo University of Education, did so a good century before relocating to Tsukuba in 1973. Three clusters of 28 colleges were built within four years at the new location.」、とのことで、なかなか深いところを突いています。
 私が留学していたMines ParisTech(Ecole des Mines de Paris)は226-250位から193位へと少しランクを上げていました。おめでとうございます。ちなみに、世界のトップはカルテックとのことでした。う〜む。
2012.7.1 
数理物質科学コロキウム レポートフィードバック
 大学院のリレー講義である「数理物質科学コロキウム」ですが、99件ものレポートを提出していただきました。成績はA,B,C(不合格はD)をつけるというもので、多くの方が(私の基準で)Aだったのですが、A+をつけたいレポートが3件ありました。
 うち2件は、講義の内容をご自分の研究に照らし合わせて考察を十分行ってあったレポートで、読み手(今回は私ということになりますが)にとって興味深いものでした。
 もう1件は、講義の内容を踏まえた上で、そこから先の「天然原料の高騰シナリオ」までを考察してあったレポートです。ご本人は皮肉屋と謙遜されていましたが、ここまで考えられるのは凄い。

 ガラスの仮面23巻(p34)、「ふたりの王女」のオーディションの際に、北島マヤが心のなかでつぶやきます。「審査会場は一人芝居のためのステージ…!
前に並ぶのは審査員という名の観客…! どうすれば楽しく観てもらえる…? どうすれば観客に興味をもってもらえる…?」

 大学院のレポートだけでなく、投稿論文や就活の面接にさえも言えることかもしれませんが、「審査員という名の観客にどうすれば興味をもってもらえるか」という発想(+もちろん実力)は非常に重要だと思います。

 私が授業をするときは、もちろん、「前に並ぶのは学生という名の観客・・・! どうすれば退屈せずに聞いてもらえる…?」 と考えながら準備をするようにしています。
2012.5.28
Bigな提案書 ようやく担当部分完成!
 5月の連休明けから担当になっていた大学院関係の超Bigな提案書ですが、28日未明、ようやく担当部分が書きあがりました。仕事の比率は、研究:教育:サービス(社会貢献や学内貢献)=1:1:1あたりが理想なのですが、ここ半年あたり1:1:5くらいになっており、「器用貧乏状態」から脱せずにいました・・・。ですが、今日からは、気持ちを入れ替えてもっと研究・教育の比率を上げていこうと思います。うちのラボは教員1名ですので、私がサービス没頭状態になるとラボの活動が停滞します。今月、あと4日ありますので、何とか書きかけの論文1報を投稿にまで持っていきたいところです。
2012.5.27

TOEICあれこれ
 大学院入試や就職活動にかかせないものとなってきたTOEICですが、鈴木研でも
学生全員が(自らすすんで)受験しました。みなさん、お疲れさまでした。さて、現場主義・実践主義がモットーの私。「うーん、最近のTOEICはね〜」と知ったかぶりするわけにもいきませんので、実は私もこっそり都内某所で受験してきました(^^;)。(筑波大学も会場なのですが、うちの学生の中で受けるのも・・・)
 2005年3月の第113回(リニューアル以前)に受けて以来ですので、7年ぶりの受験です。出題についての印象ですが、リスニングに関しては、「リテンション能力」(英語を一時記憶する能力)の重要性が以前より高まっている気がしました。リーディングについてですが、問題を解きながら、
「うーん、これは使えるな!」的なことを考えていました。E-mailでのやり取り(double passage)に関する出題がかなり多くなっているのですが、今日の試験だけでも
 ・国際会議の参加登録、学会の入会などに必要なやり取り
 ・消耗品の見積・発注
 ・会議のスケジューリング、リスケジューリング
と、日々の研究生活に必要な、実用的なものばかりです。また、リーディングの語彙選択は、論文執筆に絶対に必要なスキルです。実用性という意味で、TOEICがここまで盛んになったのも頷けます。
 ただ、通常のTOEIC(リスニング・リーディングのみ)で測れる英語力には限界があり、もっと上を目指す人には、スピーキングやライティングを含めたテストにも挑戦してもらいたいと思います。(TOEICでもSpeaking&Writing Testsというのが用意されているそうですが、私は受けたことがありません)。国内資格ですが、やっぱり手っ取り早いのは、昔からある英検でしょう(英検準1は面接もあるので結構難しいです。)英検、1級も含めて、年3回も受験機会があるのは恵まれています。やはり学習人口が多いからでしょうか。(ちなみに、私が取得を目指している仏検は、準1級以上は年1回しか受験機会がありません。)
 本日のTOEIC、35日以内に結果がわかるそうなのですが、もう少し真面目にトレーニングして、近いうちにもう一度受けてみようかな、と思っています
(学生に負けると「お寿司をごちそうする」、というルールができているそうなので、スコアを上げておかないと(笑))
2011.5.2

2011年5月14(土) 10:30〜16:00に、筑波大学大学院数理物質科学研究科のオープンキャンパスが開催されます。第1エリア 1H201講義室で全体説明会・質疑応答の後、専攻別ガイダンスや入試説明、研究室訪問、実験施設見学などが行われます。ご関心のある方はこの機会に是非、ご参加ください。
 (できれば、事前にご登録を、とのことです)
当研究室への装置搬入は5月21(土)を予定しており、実験装置はまだ見ていただくことはできませんが、その分、スライドを使って「どんなことを目指しているのか」を詳しく説明したいと思います。今回のサブテーマは、「とある筑波の無機材料(セラミックス)」(^^;)です。

 もちろん、鎌池和馬さん、灰村キヨタカさんによる有名作品へのオマージュなのですが、学園都市という設定や、「○○○ックス」という語呂までピッタリで結構気にいってます。
ロゴを作ってみたい人は、こちらのページへどうぞ。
http://to-a.ru/
2005.8.2 MOT platformをやってみました
 経済産業省が三菱総研に委託した、MOT platform、よくできています。学習者用に登録し(無料です)、ちょっとやってみたのですが、「タダなのに、すごいなー」というのが正直な感想です。中身もおもしろそうです。
https://www.mot.gr.jp/
 ただ、ひとつ困った点が・・・女性のキャラクター(五十嵐ひかりさん、天城萌夏さんという名前がちゃんとついている)が、アドベンチャーゲーム風に出てきて講義を進めるという形ですので、はた目には、「怪しいゲームをやっている」、としか見えません(^^;)。
講義終了後には、わざわざ、「五十嵐ひかり」さんからメールが届きます。会社あてに「五十嵐ひかり」さんから、メールが大量に来て、怪しまれる社員の方がいないか、少し心配です(笑)
 ところで、もし、女性の方が登録されると、男性のキャラクターがでてくるのでしょうか??
2005.8.2 2005.8.2 TEMネガの保存用ファイル

 デジタル記録式のTEMが、次第に普及しつつあるようですが、いまだ、主流はネガフィルムだと思います。たまって来たネガの整理は、「個別の袋に入れて輪ゴムどめ」、とか、「市販の専用アルバムに綺麗に整理」とか、「気に入らないネガは思い切って豪快に捨てる!」だとか、いろいろ流儀があると思います。

筆者もこれまで、専用アルバムを試したことがあるのですが、ファイルの形がキャビネットに入りにくい変形版だったりと、あまりいいものがありませんでした。

 最近のお気に入りは、生協で売っている、「名刺300(Sedia)」という積水製の名刺整理用ファイルです。1500円くらいですが、1ページに9枚入りますし、ネガの幅にもぴったりです。上が5mmほど保護用ビニールシートからはみ出てしまいますが、取り出しやすいという考え方もできます。それに、「ぴったり」(きちきち)のサイズなので、さかさまにしても、ネガが滑り出してきません。これは、重要なポイントといえるでしょう。
 定規を当てて、色々探した甲斐があったなー、と喜んでいます。ネガの整理にお困りの方は、お試しください。

 ネガの後処理については、透過原稿スキャナもかなり安くていいのが手に入りますし、論文投稿するにもデジタルデータが多いので、結局、デジタル化保存する方が多いと思います。筆者も以前、高い専用のフィルムスキャナを買ったことがあるのですが、最近では、EPSONなどから、透過原稿ユニットを標準装備した1200dpi以上のスキャナが30,000円程度ででています。普通に使う分には、これで十分のような気がします。
2005.7.9 JFCAの新体制について
 このコラムは「セラミックス業界の動向」もフォローしてますので、時事ネタを少し。日本ファインセラミックス協会(JFCA)の専務理事が交代されました。
 http://www.jfca-net.or.jp/
内村さんという方ですが、「OB」の方です。ここでのOBとは、もちろん役所OBです。NEDOのホームページで経歴が公開されています。
http://www.nedo.go.jp/introducing/other/20031001.html
 上のページで公開されているように、前任者の鈴木専務、宗内専務もOBの方です。あんまり詳しく書きませんが、このあたりの人の流れを見ると、団体間の関係がつかめるのかもしれませんね。
2005.7.2 Impact Factor 2004の発表と各セラミックス関係誌の動向を探る

 何かと話題の「Impact Factor」の2004年版が発表されていました。拙著、MOTで読むファインセラミックス技術戦略にも書いた傾向が一層強まっているのが読み取れます。全体に、ガラス関係誌がインパクトファクターと順位を落とす中、アメセラは一応、以前の位置に返り咲いています。また、Elsevier系のJ. Eur. Ceram. Soc.はアメセラに肉薄。また、同じくCeram. Int.も大きく順位を上げています。やはり、投稿料が無料、別刷りも無料、掲載も結構早いというメリットが徐々にですが効いてきていそうです。(Ceram. Int.などは、in press で100報以上待ちの状態になってますので、in press になっても、実際に印刷版がでるのは、1年〜2年はかかるでしょう)。アメセラは、出版社が変わってからかなり体制が良くなってきましたので、今後、多少IFがあがってくるのではないでしょうか。セラ協はIF減少、順位同じという状態でした。アメセラのBullは大きくIFと順位を下げてますが、「やっぱりー」という感じです。

 Materials Science: Ceramicsの順位と傾向
順位 雑誌名 IF2004 IF2003 IF 順位
(昨年順位)
1 J AM CERAM SOC 1.710 1.563 ↑(3)
2 J EUR CERAM SOC 1.483 1.248 ↑(4)
3 J NON-CRYST SOLIDS 1.433 1.563 ↓(1)
4 J SOL-GEL SCI TECHN 1.150 1.546 ↓(2)
5 J ELECTROCERAM 1.124 1.213 →(5)
6 CERAM INT 1.040 0.704 ↑(9)
7 PHYS CHEM GLASSES 0.727 1.043 ↓(6)
8 J CERAM SOC JPN 0.608 0.769 →(8)
9 J CERAM PROCESS RES 0.470 0.362 ↑(13)
10 AM CERAM SOC BULL 0.401 0.806 ↓(7)

 ほかにも、セラミックス関係者は Materials Science: Multidisciplinaryあたりの雑誌にも多く投稿すると思われますが、関係ありそうなところだけ、簡単にみておきましょう。

雑誌名 IF2004 IF2003
NAT MATER 13.531 10.778
NANO LETT 8.449 6.144
ADV MATER 8.079 7.305
ADV FUNCT MATER 5.679 4.798
CHEM MATER 4.103 4.374
ACTA MATER 3.490 3.059
MRS BULL 3.444 3.586
J MATER CHEM 2.721 2.659
SCRIPTA MATER 2.112 1.633
J MATER RES 1.912 1.635

 Nature姉妹誌は、前評判どおり、ガンガンIFがあがっていってます。また、Nature Materialsが出るまで、材料版Natureと呼ばれることが多かった、Adv. Mater. もやはり高いIFを示しています。MRS系はBullのインパクトが高いことが評判ですが、Journalの方も少しずつあがってきているようです。ほかにも化学系の雑誌などがありますが、やはり同レベルの雑誌でみても

 化学系 > 材料系一般 > セラミックス系

という傾向があるのは仕方がないようです。(研究者層の厚さに比例する面があります)

日本のセラ協誌にも是非がんばって欲しいところです。9thECerSのNewsLetterでも書いたように、雑誌の無料配布キャンペーンなどをやって、知名度を上げるという戦略も必要かもしれませんね。
2005.5.28  化学実験おすすめテキスト
 以下の参考書は、イメージトレーニングにも、また、実際に実験をする際にも役に立ちますので、お金に多少の余裕のある方は是非購入して読まれることをお勧めします。
(1) 格安コース
 数研出版編 「視覚でとらえるフォトサイエンス化学図録 最新版」 数研出版、800円+税
 実は高校生向けのテキストですが、写真が非常に豊富で、ひととおり実験操作も載っており、かなりおすすめです。1冊もっていて損はしませんので、これは復習も兼ねて、ぜひ購入をお勧めします。
 また、大学のスタッフの方には、「今の高校生がどういうバックグラウンドで入学してくるか?」を再確認できるというメリットもあります。

(2) 実用コース
 飯田 隆ほか、「イラストで見る化学実験の基礎知識」 丸善株式会社、3000円+税
 教養の学生実験レベルですが、基本からちゃんと書かれており、お勧めです。これも1冊もっていて損はしないはずです。いろんなバックグラウンドの学生さんが来る研究室のガイダンス用にも最適。

(3) 中級コース
 日本分析化学会(編)「分析化学実験の単位操作法」、4800円+税
 
 こちらは、分析実験向けですが、実験の基本操作をさらに詳しく丁寧に解説してあるものです。万人向けではありませんが、かなり参考になります。
2005.5.28 FT-IR パワーアップへの道(2)
 TeraTermProで解析データを受け取るにもコツがあるようで、セーブのときに、binaryのチェックボックスを入れておかないと、正しいデータとしてうまく保存できません。パーキンエルマーさん(代理店のコスモトレーディングさん)で、実際に保存データがSpectrum for Windowsという最近の解析ソフトで開けるかどうか試してもらったところ、上記のbinary保存した場合、ようやくうまく開くことができました。
 これと平行して、バイナリエディタでデータを開いてみたところ、なんとか1801点のデータポイントらしきデータまで取り出すことができました。プロットしてみると実測データとは程遠く「周りの学生さんからは、「データ変換方式は"べき乗"とか単純なものじゃなくて、フーリエ変換とかじゃないですか?」との指摘もでました。
 「データセーブするのに、フーリエ変換まではしないんじゃないの?」とその場は返してみたものの、よくよく考えると、装置自体が「FT」IRです。高速フーリエ変換がさくさくっとできても不思議はありません・・・

 と、このあたりまで来たところで、後々のデータ解析のレベルアップも含め、さっさと「Spectrum for Windows」の導入を決めました。(←あきらめが早い??) 時は金なりです。その後、水平ATRも導入し、無事現役復帰となりました。めでたしめでたし。

(あのとき、こだわりすぎてバイナリ解析に明け暮れていたら、いまだに使えるデータは取れていなかったかもしれません。自己満足はあったと思いますが、何事もバランスです。)
2005.5.18 FT-IR パワーアップへの道(1)
 研究室にあまり使われていなかった機器が眠っていることは少なくありません。「もったいない」ので、現在すこしずつ現役復帰を進めています。
Perkin Elmer Paragon 500という8年ほど前の機種のFT-IRが数年間ほとんど使われずに休眠状態でした。性能は十分現役レベルですが、Windowsで操作できる、といった汎用的なものではなく、専用のコンピュータが一体化されているタイプです。電源が入ってなかったため、内部のKBrは潮解しており、メーカーにお願いして光学系をメンテして何とか使えるようになりました(結構高かったです!)。
 本体に内蔵されているフロッピードライブも使えなくなっているため、スペクトルを紙に印刷することはできるものの、デジタルデータで保存することができません。本体メモリには、スペクトルの記憶が3つしかできず、また電源を切るとデータが消えてしまう状態のため、なんとかデータを取り出すべくパワーアップを図りました。 とりあえず、フロッピーを直すことが先決のような気もしますが、本体についていて唯一使えそうなRS-232C端子からデータを取り出せないかと考えました。一応、英語のマニュアルには、「RS-232C」からIBM-PCにつなげます!、といったことが書いてあります。WindowsXPの時代にRS-232Cはなかなか厳しそうですが、ほかの装置でもRS-232Cモノが結構あるので、とにかくやってみることにしました。

 まず、測定の機動性を確保するために、手持ちのノートパソコンにRS-232Cポートを増設しました。ラトックシステムのREX-5056V というPCカード接続のタイプです。マニュアルもしっかりしているので、シリアル端子・COMポート4とまで認識させるのには時間はかかりませんでした。
 RS-232Cー9ピンオスケーブルもちゃんとついてきましたが、機器につなぐ側の専用ケーブルコネクタのネジ山が固定されており、機器側のメスコネクタのネジ山に干渉するためつなぐことができません。ヤスリと格闘しつつ、ケーブルコネクタを加工して何とか物理的にはつながりました。カード自体の動作検証は、RS-232C接続ですでにパソコン制御されている機器でチェックすることができました。ポート自体は問題ないようです。

 昔のMS-DOS時代を思い出しながら、DOS窓で "COPY COM:4 test.txt" などとやってみると、一応、FT-IRとの通信はできているのですが、正しくファイルが取り込めていないようです。次に、コンピュータ側の通信環境を、まともなものにすべく、「TeraTerm Pro」を組み込んでみました。さすがに、定評ある通信ソフトで、なんとか、部分的にデータを読み込むところまではできました。データのヘッダ部分はParagon500のマニュアルにあるとおりASCII(テキスト形式)でした。問題は、#DATA以降です。肝心な部分がバイナリデータになっています・・・ さて、ここからどうしたものか?

 いろいろ、試したのですが、行き詰まり状態になったので、「ここはやはりメーカーの方に聞いてみよう」ということで、パーキンエルマーさんに次の2つの質問をしてみました。
 (1)フロッピーを直したい
 (2)RS-232Cで落としたデータ(バイナリ)をほかのPCで読み込みたい

しばらくすると、折り返し丁寧に教えていただいたのですが、
 (3)Paragon 500自体は、日本に数台しかはいっておらず、かなり年数もたっているので補修部品の在庫切れとのこと (残念!)
 (4)普通のPC用のフロッピードライブとは微妙に構造が違うとのこと。
 (5)データのバイナリ形式は非公開とのこと。(まあ、これも仕方ないですね〜)でも、学術目的で、自分で解析して読み込む分には問題なしとのこと。
 (6)現行機種用の解析ソフトならコンバート可能とのこと。(ただし、Paragon 500は下位機種のため、このソフトでのRS-232C経由の制御は対応しておらず、やはり自力で通信ソフトでデータを落としたものを読み込んでください、とのことでした。

 RS-232Cで読み込んだデータは、Perkin ElmerのIR Data Manager (IRDM)のSpectrum形式(標準的な拡張子は、.sp)というものらしく、Web上で見つけたサンプルファイルとも同じ形式だったので、どうやら読み込み自体は大丈夫のようです。

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