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研究内容

機能性を示す新しい有機・無機半導体

新しい有機・無機半導体は21世紀に大きく発展する機能性材料として注目されており、今後ますますその研究の重要性が増すと考えられています。導電性高分子や導電性低分子、ペロブスカイト、カーボン材料、遷移金属カルコゲナイド等の新しい有機・無機半導体材料は導電性や電界発光(EL)などのすぐれた電子および光機能性をあわせもち、太陽電池、発光デバイス(EL素子等)、トランジスタ等の有機・無機エレクトロニクスへの応用研究がなされ、既に実用化もされています。これらの機能性の発現機構の解明やその特性の向上を行う上で、スピン状態、分子集合体構造、デバイス界面構造、電荷キャリア状態等の研究は、重要な課題です。

 

研究テーマ

本研究室では、導電性高分子や導電性低分子、ペロブスカイト、カーボン材料、遷移金属カルコゲナイド等を用いた新しい有機・無機電子デバイスの開発と特性評価・物性研究および高特性素子開発を中心に、デバイス構造を用いた物性研究や新しいミクロ特性評価・物性研究法の開発等を行い、新しい電子デバイスの動作原理の解明を目指します。試料としては、太陽電池、発光デバイス(EL素子や発光電気化学セル)、トランジスタなどの有機半導体デバイスや無機半導体デバイスを開発・作製し、測定手段としては、電子スピン共鳴(ESR)のミクロな測定手段と伝導評価等のマクロな測定手段を併用します。そして、スピン状態、分子集合体構造、デバイス界面構造、電荷キャリア状態等の研究を行い、機能性の発現機構の解明や特性の制御と向上、さらには新しい機能性や物性の探索など、有機・無機半導体材料の基礎研究およびデバイスへの応用研究を推進しています。

 

研究の特色

本研究室では、有機・無機電子デバイスの特性向上を目的として、電子デバイス内部の電子状態を調べる研究を進めています。従来のマクロな測定では研究が難しい、電子デバイスの内部でどのようなプロセスが起こっているのかを精密に調べるため、ESRを用いて電子デバイスのミクロ解析を行う、新しい研究手法を確立しました。この手法を使うと、分子・原子レベルから電子デバイスの動作原理や問題点を解明することができます。

 

ESRを電子デバイスへ適用することは非常に難しいと考えられていましたが、私たちは世界で初めて、有機デバイスを測定する手法を開発することに成功しました。これからの電子デバイスの設計は、理論と実測に基づいて行うことができるようになると思います。そして、電子デバイスの研究開発の初期段階で、その材料や構造の潜在能力を見積もって、取捨選択することができますので、特性や耐久性の向上にも大きく寄与することができると思います。

 

研究の特長ですが、作製された電子デバイスに対して、通常のマクロ測定を行いながら、同時にESRによるミクロ測定を行います。電子デバイスのマクロな特性を確認しながら、デバイス内部のプロセスを非破壊・非接触に高感度で観察できるのがポイントです。この手法によって、デバイスが実際に動作している状況下(オペランド状態)での電荷移動や分子配向等を、精度よく観察することができます。デバイスのどこに、どんな問題があるのか、分子・原子レベルで解明できるため、効率や耐久性を改善する指針も得られます。

 

研究内容の詳細については下記をご参照下さい。

① 太陽電池のESR研究
② 発光デバイスと関連材料のESR研究
③ トランジスタのESR研究
 

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