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トランジスタのESR研究

イオンゲート制御MoS2トランジスタにおける伝導電子と原子空孔の磁性

イオンゲルを用いた低電圧駆動可能なトランジスタのESR研究を行った。伝導電子や原子空孔の磁性解析を行った。半導体材料としては遷移金属カルコゲナイドMoS2を用いた。MoS2薄膜トランジスタでは、伝導電子、S原子空孔、MoS6原子空孔由来のスピン状態およびそれらの電界制御を明らかにした。

Commun. Mater. 2 (2021) 27.

筑波大学プレスリリース、2021年3月5日.

Press Release, University of Tsukuba, March 5, 2021.

 

イオンゲート制御炭素材料トランジスタにおける電荷・スピン状態の解明

イオンゲルを用いた低電圧駆動可能なトランジスタのESR研究を行った。伝導電子や原子空孔のスピン状態や伝導機構のミクロ解析を行った。半導体材料としては単層カーボンナノチューブとグラフェンを用いた。単層カーボンナノチューブ半導体トランジスタでは、原子空孔に由来するスピン形成とそれが両極性の電界により消失する現象を見出し、高移動度の発現に寄与することを指摘し、また、1次元性に由来する朝永・ラッティンジャー液体の形成をミクロな観点から立証した。単層グラフェントランジスタでは、カーボンナノチューブ研究と同様な両極性の電界誘起スピン消失現象や、2次元電子系での電界誘起パウリ常磁性をミクロな観点から立証した。

Sci. Rep. 6 (2016) 34966.

Sci. Rep. 5 (2015) 11859.

 

イオンゲート制御有機トランジスタにおける電荷状態と磁気的相互作用の電界制御

イオンゲルを用いた低電圧駆動可能なトランジスタのESR研究を行った。高電荷密度状態における電荷のスピン状態や伝導機構、界面状態のミクロ解析を行った。半導体材料としては、立体規則性ポリヘキシルチオフェン(RR-P3HT)、ルブレン単結晶、ペンタセンを用いた。RR-P3HT薄膜トランジスタでは、高電荷密度下における電荷キャリア間の2次元磁気相互作用と、非磁性電荷キャリア伝導を発見した。ルブレン単結晶トランジスタでは、イオン液体の高電界下における分子配向評価と界面電荷キャリアトラップを研究し、クリーンな有機界面が形成されていることを立証した。また、RR-P3HTとペンタセンにおける正孔と電子の電荷状態の電界制御を観測した。

ACS Appl. Electron. Mater. 1 (2019) 2522.

Appl. Phys. Lett. 102 (2013) 133301.  

Appl. Phys. Express 6 (2013) 041603. 

 

有機単結晶トランジスタのキャリアダイナミクスのミクロ解明

有機FET中で最高の移動度を示し、有機トランジスタ材料として注目されるルブレン単結晶を用いたFET構造を作製し、単結晶FETとして初めてゲート電圧誘起された電荷キャリアのESR検出に成功した。そして、電荷キャリアのトラップ時間の直接評価により、高移動度発現の微視的な機構を明らかにした。また、貼り付け法で作製された素子では、深い電荷トラップ準位がないクリーンなFET界面が形成されていることをミクロな観点で立証した。

Phys. Rev. B 83 (2011) 075302. 
Appl. Phys. Express 4 (2011) 085702.

 

両極性電界効果デバイスにおける電荷状態観測

有機トランジスタ材料として注目される高移動度高分子、立体規則性ポリアルキルチオフェン(RR-P3AT)とフラーレンC60との複合体を用いた金属・絶縁体・半導体(MIS)構造を作製し、ゲート電圧誘起された正と負の両極性の電荷キャリアのESR検出に初めて成功し、正キャリアがRR-P3ATに、負キャリアがC60に起因することをミクロな観点で立証した。

Jpn. J. Appl. Phys. 46 (2007) L1191.

 

低分子薄膜トランジスタにおける電荷波動関数の解明

有機トランジスタ材料として注目される高移動度低分子ペンタセンを半導体層に用いたFET構造を作製し、FET特性評価を行った同一素子を用いてゲート電圧誘起された電荷キャリアのESR検出に初めて成功した。そして、電荷キャリアの空間広がりが10分子程度であることを証明し、電荷キャリアのバンド的な電荷輸送機構をミクロな観点で立証した。また、FET界面の分子配向観測にも成功した。

Phys. Rev. Lett. 97 (2006) 256603.

記者説明会、筑波大学、つくば、2006年12月21日. 

新聞掲載、2006年12月28日.

 

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