研究|筑波大学 数理物質系・物質工学域 近藤研究室

Research

研究

About Research

研究について

資源、エネルギー、環境の諸問題を解決し、明るく豊かで持続的な発展を続ける質の高い安心できる幸福な社会を構築するためには、豊富なエネルギー源を用いて、環境に低負荷で高効率に且つ安価に安定して安全に電気エネルギーを獲得可能となる革新的なエネルギー技術の開発・導入・普及が必要不可欠です。

このような革新的なエネルギー技術に欠かせない触媒材料やデバイス材料の開発では、経験的な知見の蓄積やそれに基づく改良に加えて、時には常識を覆すような大きなブレークスルーを生み出すことが非常に重要であると私は考えています。どちらも簡単なことではないのですが、どちらの場合も分子や原子の挙動を一つ一つ細かく正確に理解すること、物質の性質や物質同士の相互作用を細かく正確に理解すること、このような一見すると地味な基礎科学が大変重要だと考えています。そして、次に大事なのは常識にとらわれず、得られた知見を自分自身の頭で論理的に組み立て、時には新しい概念となるような作業仮説を構築し、これを実際に検証してさらに応用するというプロセスを行うことだと思います。このようなプロセスを社会が求めている材料や技術の開発研究に真剣に応用することによって、既存技術の革新的改良だけではなく、既存にない新しい概念や、新しい材料や、新しい技術を新たに生み出すことが必ず可能となり、社会に実際に貢献していく研究へと繋がっていくと私は考えています。

私はこのような基礎科学、最初の概念の発見、そして、さらにその先の実際に社会に貢献していく出口までを含めた研究を実現し、実際に社会に役に立つ新しい物質(材料)、新しい技術、新しい研究領域の開拓を実現したいと考えています。

近藤研究室の研究方針

(1)面白くてワクワクする研究を楽しむ
  • インパクトと意味のある成果が期待できる研究をする
  • 自然との対話、考えること、議論することを楽しむ
  • 一生に一度しかない今の瞬間を楽しむ
  • 日本の中でも外でも研究を通じて議論を楽しむ
(2)オリジナリティが明確な研究をする
  • 世界で初めての発見となる研究をする
  • オリジナルなアイデアがあるのかを常に問う
(3)材料(世の中に直接的に役立つ物質)が相手
  • 物質の中で「世の中の役に立つ機能」に注目する
  • 世の中の役に立つ機能を常に考える(新機能に繋がる)
(4)質の高い研究をする
  • 万人が一発で納得する実験データは何かを考える(重要)
  • 基礎知識(教科書)に立脚・比較した議論をする(なければ作る)
  • 信頼性と再現性のある実験データを取得する(最低限必要)

近藤研究室の教育方針

基本的に触媒表面科学研究グループにおける
中村潤児教授の方針を踏襲しています
  • よく考える。論理的思考と行動の実践。あらゆることに役立つ。また、それを楽しむ。皆で考え、論理的に議論するディスカッションを楽しむ。(毎週個別ディスカッション)
  • 物理化学、表面科学、電気化学、材料科学、触媒化学がよくわかる人材を輩出する。環境・エネルギー・材料に強い人材。(勉強会・ゼミ)
  • 英語でコミュニケーションできる人材。人とのコミュニケーション能力は訓練で伸びる。(英語でゼミとディスカッション、日々の小言)
  • プレゼンテーション能力が高い人材を輩出する。
    (何度も行う練習会と日々の小言)
  • 一流の研究をしたという経験を有する人材を輩出する。
    (綿密な打ち合わせ)
  • 材料に関して、理論・解析・設計合成の三拍子揃った人材。
    (研究を通して
  • 深い部分もあれば、広い知識を持ち合わせた人材。(研究を通して)
  • 常識の分かる人間(日々の小言)

Current Research

現在の研究内容

水素社会・カーボンニュートラルに貢献するための新しい物質開発に関する研究 を実施中です

  • (1)新しい高密度水素貯蔵材料の開発
  • (2)水電解のための新しい非金属電極触媒材料の開発
  • (3)典型元素で構成される新しい物質群の開発

また、触媒表面科学研究グループとして、中村潤児教授、藤谷忠博教授、武安光太郎助教と共に
下記の研究内容を行っています。

  • (1)CO2からメタノールへの変換触媒の開発と基盤研究
  • (2)グラフェン担持白金触媒の開発と基盤研究
  • (3)白金フリー燃料電池触媒(カーボンアロイ)の開発と基盤研究
  • (4)藻類産製生油変換触媒の開発と基盤研究
  • (5)カーボンの反応性起源の解明

最近は特に、我々が世界で初めて創出に成功した
ホウ素と水素で構成されるホウ化水素シートやホウ素と硫黄で構成される硫化ホウ素シート
などを中心に研究をしています。

Recent Results

最近の研究成果

軽量・安全な固体水素キャリアから低電位で水素生成
―ホウ化水素シートを用いた水素貯蔵・放出技術― (2024年)

東工大宮内先生らおよび大阪大学濱田先生らとの共同研究で行った研究成果!
(Small誌に掲載)

Small (2024) 2310239.
【共同プレスリリース】
Tokyo Tech., Univ. Tsukuba, Osaka Univ.
【新聞報道など】
The National Tribune (2月9日), PhysORG (2月9日), Medriva (2月9日), EurekAlert (2月9日), Innovation Newsnetwork (2月9日), MIRAGE (2月9日), Science Daily (2月9日), Newssalt (2月13日), マイナビニュース (2月13日),

典型元素を利用した高活性アルカリ水電解触媒を開発 (2023年)

D3のLiさんが中心となりNIMS、東京農工大、高知工科大、東工大との共同研究で行った研究成果!
(Chemical Engineering Journal誌に掲載)

Chemical Engineering Journal, 471 (2023) 144489.
【共同プレスリリース】
Univ. Tsukuba, TUAT
Kochi University of Technology
【新聞報道など】
日本経済新聞 (7月13日), MITテクノロジーレビュー (7月19日), ASCII.jp×ビジネス (7月19日),
Phys ORG (7月20日), EurekAlert AAAS (7月20日), 日経産業新聞 (7月31日)

マイクロメートルサイズの 微小な粉状結晶の電子構造測定に初めて成功 (2023年)

東北大の菅原先生と佐藤先生らとの共同研究により、卒業生の日下さんらが修士課程で合成したr-BSについて電子バンドのピンポイント計測が実現!
(Nano Letters誌に掲載)

Nano Letters 23 (2023) 1673-1679.
【共同プレスリリース】
Tohoku Univ., Univ. Tsukuba, KEK, QST, Tokyo Tech., JST, AIMR
【新聞報道など】
日本経済新聞 (3月2日), OPTRONICES(2023-3-2),

CO2水素化によるメタノール合成の反応過程を解明 (2022年)

CO2からフォーメート(HCOO)、ジオキシメチレン(H2COO)への水素化が、
CO2からのメタノール合成の素過程を構成し、全体の反応速度を決める過程であることを明らかにした
(J. Am. Chem. Soc.誌に掲載)

J. Am. Chem. Soc. 144 (2022) 12158-12166.
【共同プレスリリース】
Univ. Tsukuba, Osaka Univ., Kyushu Univ.,

新しい半導体物質「硫化ホウ素シート」の生成に成功 (2021年)

理論予測されていた熱電材料や水素貯蔵材料としての応用に加え、
電子デバイスの半導体部品としての利用や、光触媒としての応用、
光に反応するセンサー材料など、幅広い分野への展開が期待
(J. Mate. Chem. A誌に掲載)

J. Mater. Chem. A 9 (2021) 24631-24640
【共同プレスリリース】
Univ. Tsukuba (English), Univ. Tsukuba (Japanese), Tokyo Tech., Kochi University of Technology, TAT, Nagoya Univ., KEK
【新聞報道など】
日本経済新聞 (10月28日), IT media NEWS(28-Oct-2021), OPTRONICS ONLINE (28-Oct-2021), AZO NANO (29-Oct-2021), Science Times (1-Nov-2021),PhysORG (28-Oct-2021), nano werk (28-Oct-2021), ScienceDaily (28-Oct-2021), MIRATAGE (28-Oct-2021), Yahoo News (28-Oct-2021), Excite News (28-Oct-2021), つくばサイエンスニュース, 科学新聞(19-Nov-2021), EurekAlert! AAAS(28-Oct-2021), SPring8 (28-Oct-2021), 客観日本(2022年1月20日)

導電性を制御可能な新しいナノシート材料の開発に成功 (2020年)

-水素とホウ素の特異な構造と有機分子吸着がカギ 分子応答性センサーや触媒応用へ期待-
(Chem誌に掲載)

分子振動が化学反応を駆動する (2019年)

~銅触媒表面での二酸化炭素の水素化反応機構を解明~
(Nature Chemistry誌に掲載)

Nature Chemistry 11 (2019) 722-729.
【共同プレスリリース】
Univ. Tsukuba, 筑波大学, 大阪大学
【新聞報道など】
つくばサイエンスニュース(2019年7月3日)

新しいシート状物質「ホウ化水素シート(ボロファン)」の誕生 (2017年)

~優れた水素吸蔵性能を有する新材料~
(J. Am. Chem. Soc.誌に掲載)

J. Am. Chem. Soc. 139 (2017) 13761.
【共同プレスリリース】
Univ. Tsukuba, 筑波大学, 東北大学, 東京工業大学, MANA, NIMS, AIMR, 東北大学 材料科学高等研究所, NIMS, 物質・材料研究機構
【筑波大学広報刊行誌】
SUKU COMM [ツクコム] 2018.01 (vol.38) p19, TSUKU COMM [ツクコム] 2021.07 (vol.52) p17
【TSUKUBA FUTURE】
#085:平面に広がる新しい材料の世界
【新聞報道など】
化学工業日報 (2017年9月28日), マイナビニュース (2017年9月28日), 鉄鋼新聞 (2017年9月29日), つくばサイエンスニュース(2017年9月26日), Nanotechnology Platform (2017年10月13日), Optronics online(2017年9月27日)
● 機械学習などでも困難な非常に創造的な発見としてChem誌の解説記事で唯一の引用文献として紹介されました。
(詳細は東工大元素戦略センターのサイトのNEWSTIESサイトのNEWSをご覧ください)

ピリジン型窒素が炭素触媒の活性点を形成する (2016年)

~レアメタル白金に代わる燃料電池触媒開発への大きな発見~
(Science誌に掲載)

Science 351 (2016) 361.
筑波大学プレスリリース
● 「2016年サイエンス誌に載った日本人研究者」の記事PDF
● Selected as Nature Nanotechnology, Research Highlights
【筑波大学広報刊行誌】
TSUKU COMM[ツクコム] 2016.04 (vol.31) p21
【新聞報道など】
日刊工業新聞(2016年1月22日), 日刊自動車新聞(2016年1月22日), 化学工業日報(2016年01月22日), 株式会社科学新聞社 (2016年2月22日), Optronics online (2016年1月25日), Nanotechnology Platform (2017年10月13日), つくばサイエンスニュース(2016年1月22日)

新しい局所精密計測手法を開発 (2014年)

(Scientific Reports誌に掲載)

Scientific Reports 4 (2014) 6711.
筑波大学プレスリリース
【新聞報道など】
Nanotechnology Platform (2014年11月10日)

無磁場下でのランダウ準位の観測 (2012年)

(Nature Communications誌に掲載)

Nature Communications 3 (2012) 1068.
プレスリリース 日本語解説 PDF