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材料組織学研究室(木塚研究室)は、電子顕微鏡法をもとに金属、セラミックス、半導体、複合材料を開発している研究室です。

筑波大学

研究手法・・・原子を観て、操り、測るMETHODS

私たちの研究室では、材料の原子配列を直接観察しながら、原子配列を操作したり、材料が使用される超高温・超高圧力のときの材料組織を「その場」で調べられる「電子顕微鏡」を開発し、次の時代を担う最先端材料を研究・開発しています。      

原子の姿を観る

材料は原子が配列してできています。原子は私たち自身の体を作り、私たちの体に触れ、私たちの周りに無数にありながら、小さすぎてその存在を感じることができません。肉眼で見えない小さなものを拡大して映しだす道具が顕微鏡です。はじめにガラスのレンズを使った光学顕微鏡が発明され、ほこり、杉花粉、昆虫の複眼、かび、細胞や細菌の姿が露わにされました。光学顕微鏡では見えない、もっと小さいものを観るために電子の波と電場や磁場をつかった電子レンズを使った電子顕微鏡が発明され、ウイルスや煙の微粒子が観察できるようになりました。現在では、この電子顕微鏡をはじめとする様々な顕微鏡が開発され、材料を観察するときの直接倍率は100万倍以上に達しています。その結果、材料を構成する最小の粒、つまり、たった1つの原子の姿が見えるようになっています。
  
  
  最先端高分解能透過型電子顕微鏡

原子を操作する

私たちの研究室で材料を電子顕微鏡で観察していると、目の前のモニターに原子の世界が映し出されます。材料を拡大しているのではなく、逆に自分が小さくなって原子の世界にいるように勘違いしてしまいます。原子が自分の吐息に合わせて揺れているのを観ると、自分が原子を動かしていることに気づきます。原子を一つずつ自由に操作できれば、材料合成は思いのままになります。私たちの研究室では、電子顕微鏡を発展させ、原子を直接観察して、原子の操作をできるようにしました。電子顕微鏡を、材料を「観る」だけでなく、「顕微」以外の「作る」機能をもつ装置にしたのです。

原子操作した材料の特性を調べる

原子を自由に操作して作った材料は、自然界に存在する物質とは異なる特別な構造をもっています。「新物質」は将来の科学技術を担う様々な機能をもたらす材料になります。私たちの電子顕微鏡では、前述のように、材料を観て作るだけでなく、電気伝導、強度や伸びやすさ、さらに光学特性も調査できるようにしました。つまり、材料の物理量を「測る」機能をさらに追加しました。これによって材料の新機能探索もできるようにしました。

最先端材料を開発する

原子を操作できる私たちの新しい電子顕微鏡は、金属、半導体、セラミックス、樹脂およびそれらの複合材料など様々な種類の最先端材料の研究に応用できます。代表的な例を挙げましょう。
(ナノサイズの電子材料)
電子デバイス、微細配線、原子スイッチや超高感度センサーなどに使用されるナノ構造をもつ電子材料は、私たちの開発した電子顕微鏡を最も有効に活用できるものです。構成する原子の数が数えられるほど小さなナノ構造材料は、同じ組成でできていても、大きな材料とは全く異なる特性を発現します。
(航空機・ジェットエンジン材料)
航空機やジェットエンジンに使われる耐熱セラミックスやカーボン繊維強化樹脂(CFRP)は、現在最も注目されている最先端材料の一つです。私たちの開発した電子顕微鏡を使うと超高温・超高圧力・紫外線照射の過酷な環境で使用される最先端材料で問題になる材料設計、変形、劣化、破壊などを原子レベルで直接解き明かし、材料開発を進めることができます。

原子の世界で新材料開発

以上のように、私たちの研究室では、「原子を観て、操り、測る」電子顕微鏡を開発して、原子の世界で、新しい機能を持つ最先端構造材料を研究しています。

(参考資料・文献)
現在研究している研究については「研究内容」の項を、より詳細な内容や専門的な説明については、本研究室が発表した論文や会議資料に記載されている文献をご覧下さい。


バナースペース

材料組織学研究室(木塚研究室)

〒305-8573
茨城県つくば市天王台1-1-1

筑波大学 数理物質系 物質工学域