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グラファイト層間化合物の研究
Fig.1 代表的なGICのTc[3]

グラファイトの層間に元素が侵入した化合物、グラファイト層間化合物(Graphite-Intercalation-Compound, GIC) は グラファイトの平面層状構造を維持したまま反応物質が層間に侵入することにより合成される。 1965年、Hannay らによってKC8が200 mK以下で超伝導性を示すことが報告され、 グラファイト、及び挿入されたアルカリ金属は単体自身で超伝導を示さないことから、大きな注目を集めた[1]。
その後、GIC は化学材料としての興味の観点からも数多くの研究がなされ、数100 種を上る化合物が発見されている。 これらの物質の中には高い伝導度を持つものや磁性を示すものも数多くあり、二次元的構造という特徴からも物性物理学の対象としても数多くの研究が行われてきた。
このような中2005 年、Weller らは、これまで合成が困難とされてきたYbC6 およびCaC6 を合成し、 そのTc が6.5 K、11.5 K であることを発見した[2]。特にCaC6 の11.5 K は、それまでのGIC のTc を大きく上回ることもあり大変興味が持たれている。 Fig.5 に代表的なGIC二元系物質の超伝導転移温度を示す[3]。
本研究室でも、なぜこのCaC6がグラファイト層間化合物の中でも超伝導転移温度が一桁以上高い値を示すのかについて興味を持っており、その超伝導特性について研究を行っている。
[1]N.B.Hanney et. al. Phys.Rev. Lett. 14 (1965) 225.
[2]T.E.Wller et. al. Nat. Phys. 1. 39 (2005) 41.
[3]田沼 静一, インターカレーション-層間化合物の超伝導-, 固体物理. vol.23 12 (1988).