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高温超伝導の結晶育成と基礎物性研究

1. 大型, 高品質単結晶の育成
Fig.1 Single crystal of Bi2212.

物質の基礎的な性質を理解する上で、高品質な単結晶の育成は欠かすことが出来ない。
本研究室では最近注目を集めている鉄砒素系の超伝導体を含む、様々な高温超伝導体の大型、高品質単結晶(例えば、Bi2Sr2Can-1Cu2O2n+4+δ(n=1,2,3)、YBa2Cu3O7、Nd2-xCexCuO4)、の育成を行っている。我々はこれらの高品質の単結晶を用いて、高温超伝導体の電子状態を様々な実験的手法を用いて解明し、高温超伝導の発現機構を統一的に理解することを最終目標に研究を行っている。Fig.1に実際に育成したBi2Sr2CaCu2O8+δの単結晶の写真を示す。長さ数cm, 幅8 mm, 厚さ0.2 mm 程度のきわめて高品質な単結晶を得るに至っている。


2. 高温超伝導体Whiskerに関する研究
Fig.2 Te添加 Bi2212系ウィスカー.

高温超伝導体は大型で良質な単結晶を得ることが困難であり、物性研究にとってその発展を阻害する最大要因となっている。 一方、ウィスカーは多くの高温超伝導体で直径数10ミクロン程度のものは圧粉体を高温で熱処理することで容易に育成することが出来る。 しかも結晶の不均一性を最小限にとどめることが出来るため、微小超伝導体の研究に有効である。
高品質な高温超伝導体ウィスカーの育成条件の把握・確立を目的として本研究室で育成したTe添加のBi2212系ウィスカーの写真をFig.2に示す。 現在はLa系やRu系、そしてRBa2Cu3O7 (R=Rare-earth, R-123系)といったウィスカーの育成を行っている。 特にR-123系では、希土類原子の一部をCaで置換することが出来るので、ドーピングに応じたTcの系統的な評価などを目指して物性研究を行っている。