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鉄系超伝導体に関する研究

鉄系超伝導体と呼ばれる物質は、2008年の東工大グループの発見後、急速に研究が進み、現在では56 K程度の超伝導転移温度を示す物質が発見されています。これは、銅酸化物高温超伝導体に次ぐ高い超伝導転移温度を示すこともあり、非常に注目を集めている物質です。  我々のグループでは、これまでにBaFe2As2(122系)、LiFeP(111系)に代表される鉄系超伝導体の高品質単結晶育成を試みてきました。その結果、最近では比較的大きな単結晶を122系のEuFe2(As1-xPx)2で育成することが可能になってきました。  このEuFe2(As1-xPx)2の母物質であるEuFe2As2は、EuとFeの二つの磁性サイトを持ち、それぞれが別々の温度で磁気秩序を示します。ここに、リン(P)をドープすると、Euの磁気秩序温度はあまり影響を受けませんが、Feサイトの磁気秩序温度が大きく抑制されます。そして、x = 0.2付近で超伝導が出現し、このときFeサイトの磁気秩序は消えていると推測されています。一方で、このとき超伝導とEuの磁性秩序は共存しています。これらの詳細を理解するために、現在単結晶を用いた輸送特性を中心に研究を進めています。