トポロジカル絶縁体・超伝導体における物性研究
トポロジカル絶縁体は、バルクは絶縁体であるのに対し、その表面は特殊な金属状態を示すといった大変興味深い物質です。
このような性質は、トポロジーの概念を適用することで通常の絶縁体とは区別できるためトポロジカル絶縁体と呼ばれています。このトポロジカル絶縁体の物性には、スピン軌道相互作用と密接な関係があり、表面状態を反映した直線的なバンド分散（ディラックコーン）が伝導帯と価電子帯をつなぐように現れることが知られています。またこのディラック点近傍では有効質量がゼロのディラックフェルミオンの存在が期待されています。トポロジカル絶縁体では、これだけでなくさらに多様かつ新奇な物理現象が現れることが期待されています。
加えてこのトポロジカル絶縁体の一つである、Bi2Se3にCuをわずかに加えたCuxBi2Se3では、超伝導を示すことが分かっており、トポロジカル絶縁体で生じる超伝導の物性という観点において大変興味深い物質です。しかし現在まで、このCuが超伝導発現にどのように影響しているのか、その役割について明確な答えが得られていません。そこで我々のグループでは、このトポロジカル絶縁体の表面状態を反映した物性、及びCu添加による超伝導の起源の詳細を調べるために、良質な単結晶育成と輸送特性を中心とした物性評価を現在行っています。
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