メンタルストレスセンサー


研究背景

 オリンピックや世界選手権で活躍するトップアスリートや宇宙飛行士、人命を預かる医療従事者らにとって、各現場でのしかかる重圧への対処は重要な課題の一つである。そのため、ストレスの程度を正確に認識し、それを軽減する適切な対応策を取るストレスマネジメントの重要性が高まっている。


研究概要

 これまでに、メンタルストレスが我々の免疫機能、特に白血球細胞の7割を占める好中球の初期免疫応答に大きな影響を及ぼすことが報告されている。そのため、本研究ではストレス診断の指標として好中球の貪食・殺菌作用に着目した。ストレス評価は、好中球細胞と細菌を共培養し、好中球の貪食・殺菌作用の結果生じる細菌数の変化を、電気化学センサーを用いて測定することで行う。本デバイスは,細胞培養用チャンバとセンサー部が一体となっているため、細胞培養から細菌数計測までの一連の操作を、チップ上で迅速かつ簡便に行うことが可能である。


研究内容

 7℃の温水中で2時間水浸拘束させたマウス(C57BL)をストレス評価のモデル試料とし、その全血試料より得られた好中球と細菌を共培養した試料の電流値測定を行った。その結果、健常マウスより得られた好中球を含む試料に比べ、ストレス負荷させたマウスより得られた好中球を含む試料の方が、培養液中に生存する細菌数が多かった。これは、ストレスにより好中球の貪食・殺菌活性が低下したことを示しており、それを本デバイスで測定可能であることがわかった。



Fig. 1 Exploded view (a), top view (b), and cross section (c) of the stress monitoring device.



Fig. 2 Mouse for stress check (a), addition the stress in warm water for two hours (b),
and running test after adding the stress (c).