極微量液適(液体プラグ)のクーロメトリック分析


研究目的

 近年、微小化学分析システム(µTAS)中での溶液処理において、液体プラグを用いる方式が注目を集めている1)。これまでに、液体操作や応用については検討が進められてきたが、プラグ中の化学物質の高感度センシングを目指した研究は少ない。そこで、本研究では、微量な試料の測定に適したクーロメトリーに基づく電気化学測定デバイスを作製し、高感度検出の可能性について検討を行っている。


研究内容

 これまでに、30〜400 nL程度の液体プラグを測定可能なデバイスを開発している。Fig.1にデバイスの構成図を示す。デバイスはガラス基板上に形成された微小三電極系とPDMS製流路から構成される。図中の操作用流路で計量・分割された液体プラグはセンシング部に移された後、定電位( 0.7 V vs Ag/AgCl)クーロメトリーにより測定される。Fig.2(a)にL-glutamateの測定手順を示す。メイン流路中に導入されたサンプルと酵素溶液を1:1の割合で混合したのち測定している。この時の結果をFig.2(a)に示す。多少バックグラウンドは高いもののL-glutamate濃度と電気量は単調な増加関係を示しており、本デバイスで生化学物質の測定が行える事が確認できた。


Fig.1. デバイスの構成
Fig.2.
(a): L-glutamate測定手順
(b): 電気量のL-glutamate濃度依存性


[参考資料] F. Sassa, H. Laghzali, J. Fukuda, H. Suzuki, Coulometric detection of components in liquid plugs by microfabricated flow channel and electrode structures, Analytical Chemistry (IF=5.87), 82 (20), pp.8725-32 (2010).