マイクロ血液ガスセンサの研究


研究目的

 血液ガス(酸素、二酸化炭素、pH)分析は、呼吸性疾患の検査や危篤患者や手術中の患者の診断や治療において必要不可欠です。しかし、従来の定量は採血後、血液分析装置で行われており、断片的な情報しか得ることができず、血液ガスのように数秒〜数分程度でも大きな変化が生じる可能性のあるものでは、正確な情報を得ることはできませんでした。そこで本研究では血液ガスのin vivo連続測定を可能にするため、マイクロマシ―ニング技術を利用してカテーテル中に搭載可能な集積型マイクロ血液ガスセンサを構築することを目的としています。


研究内容

 本研究では、微小針型酸素電極を作成するために、カソードとアノードを積層させた電極構造をマイクロマシンニング技術を用いて一括に作製し、これに電解質層及び、ガス透過性膜層を形成しました。作成した針型電極酸素電極は実際に21Gのカテーテルに装着することが可能なサイズです。また、酸素電極の一定電流下でのアノードの分極を調べたところ、電流値が200 nA以下であれば分極も小さく、少なくとも5時間以上安定な電位を持続できることが確認されました。さらに、25-100 mmのカソードを有する酸素電極の検量線を調べたところ、生理的範囲内において電流値と酸素分圧の間に直線関係が認められました。
 この他にも、二酸化炭素やpHセンサなどの試作もおこなっています。




酸素電極の構造


注射針に装着した酸素電極





[参考資料] 王シャウ文、鈴木博章、林勝義、砂川憲二、集積型血液ガスセンサ、第34回化学センサ研究発表会電気化学会全国大会、第36回化学センサ研究発表会電気化学会全国大会