疎水性SAMを利用したマイクロバルブの研究
-マイクロフルイディックディスプレイ-


研究目的

 μTASと呼ばれる微小化学分析システムを実現する上で、微小なデバイス中でのサンプルや試薬溶液の送液を制御することは重要なファクターの1つです。しかし、これまで開発されてきた送液の制御を担うマイクロポンプやマイクロバルブの多くは巨大な外部電源や外部装置を必要とするものであり、チップ型センサの優れた携帯性を活かすことができませんでした。
 本研究では、白金電極の混成電位スイッチングによる自律的な逐次送液を応用したディスプレイデバイスを作製しました。


研究内容

 図1に作製したデバイスの構造を示します。デバイス中には分岐した形状の流路が1本形成されており、分岐先にはそれぞれマイクロバルブと亜鉛電極、アルファベットの文字を象った構造の流路があります。
 図2にデバイスへ電解液を導入した際の送液の様子を示します。導入された電解液は毛細管現象によって自律的に送液され、各マイクロバルブで停止されました。溶液が最奥の亜鉛電極に到達することで、それに接続されたマイクロバルブが開放し、デバイス中にAの文字が描画されました。この動作が順次行われることで、デバイス中で自律的に文字が順番に表示されました。



図1:デバイスの構造

図2:デバイスの動作結果