バイオケミカルマイクロプロセッサー


研究目的

 微小化学分析システムは、超微量サンプルの高感度測定が可能な革新的な分析デバイスとして注目されているが、これまでは、主にある特定の目的に特化したデバイスが提案されてきた。しかし、このようなデバイスではその目的毎に装置を作り直す必要がある。本研究ではコンピュータのマイクロプロセッサのように「ユーザーがその場で必要となった処理を高速に行うこと」をコンセプトとして、これを実現する生化学分析デバイスの開発を目標としている。


研究内容

 これまでに、バイオケミカルマイクロプロセッサーの中核素子となる汎用液体処理デバイスを開発している。このデバイスは、液体プラグと呼ばれる流路中の微小液滴の性質を利用し、任意の種類の液体を任意の比率、任意の順序で混合する事ができる。Fig.1Aにシステムの構成図を示す。システムは、非常にシンプルなT字型の流路を備え、その二つの末端は精密に吸引排出可能なポンプに接続されている。残る一つの末端は溶液の導入・排出用に外部に解放されている。本システムにおける7つの基本操作と計量操作をFig.1Bに示す。このように流路上のT字型交点において分割・混合・入れ替えなどの基本操作を適切な順番で組み合わせて実行することによって、様々な反応・分析を行うことが可能となる。 Fig.2に液体プラグの連続入れ替えの様子を示す。



Fig.1. (A)デバイスの構成と(B)基本操作


Fig.2. 液体プラグの連続入れ替え

[参考資料] F. Sassa, J. Fukuda, H. Suzuki, Microprocessing of liquid plugs for bio / chemical analyses, Analytical Chemistry, American Chemical Society, 80 (16), 6206-6213, 2008.