バイオケモメカニカルゲルを用いたバイオセンサの研究


研究目的

 現在、血液検査により多くの項目を調べることができ、個人の医院だけでなく、自宅で簡単に検査できるような簡易システムが期待される。このような臨床検査の手段の一つにバイオセンサによる測定が挙げられるが、バイオセンサを利用した血糖や尿素窒素、コレステロールなどの臨床検査装置はすでに市販されており、これまでのバイオセンサの開発は多岐にわたっている。このバイオセンサの市場は今後ますます広がると予想され、様々な機能を発現するインテリジェント材料として注目されている高分子ゲルを利用し、簡易測定手段としての新しい構成・原理によるディスポーザブルバイオセンサの作製を行った。


研究内容

 高分子ゲルとは、三次元網目構造を持つ高分子と溶媒から構成され、溶媒中で溶媒を吸収して一定限度の容積に膨潤・収縮するが、溶解はしない。このような特性を持つ高分子ゲルを利用し、バイオセンサを作製した。まず、温度・pH応答性ゲルを作製し、このゲルにグルコースオキシダーゼ(GOD)を固定し、グルコース応答性ゲルを作製した(Fig.1)。次に、このセンサの応用として、両性電解質ゲルを利用し、GOD、ウレアーゼを固定を行い、グルコース応答性ゲル、尿素応答性ゲルを作製した。最後に、ゲルの体積変化という情報をカラム内の色素溶液の液面変位として検出する方法を、棒温度計のような簡単な構造により実現した。以上の研究より、簡易測定手段として安価なディスポーザブルバイオセンサの実現に貢献した。







[参考資料] Hiroaki Suzuki, and Ayumi Kumagai “A disposable biosensor employing a glucose-sensitive biochemomechanical gel”Biosensors and Bioelectronics, Volume 18, Issue 10, 2003, Pages 1289-1297