電気化学的集積化微小送液機構の研究


研究目的

 高度なµTASあるいはLab-on-a-chipに不可欠な構成要素となる送液用マイクロポンプ、マイクロバルブは現状では構造が複雑なものが多く、微小化には限界があり、微小チップ上に搭載するのは必ずしも容易ではない。また、構造が複雑になるほど、信頼性、耐久性に問題を生じやすいため、ポンプ、バルブのようなアクチュエータはできる限り単純な構造で実現する事が好ましい。そこで本研究では、水の電気分解を利用することで、単純な構造でありながら極めて精度の高い、電気化学的マイクロポンプの作製し、またこれらを集積化した、ワンチップで複数のサンプルの吸引・送液から合成までを行う集積化微小送液機構の実現を目的とした。


研究内容

 本研究では電気化学的に発生させた水素ガスを利用したマイクロポンプ、マイクロポンプをマイクロマシンニング技術を用い作製し、その評価を行った。水素ガスの生成・消滅には三電極系を使用し、電極電位を設定することで精密な吸引・排出動作が可能となっている。
 また、これら、マイクロポンプ二個およびマイクロバルブ4個を20 mm×20 mmのチップ上に集積し、Y字型流路上で混合させるデバイスを作製した。このデバイスの機能確認として、ATPとLuciferinを含む溶液1と、Luciferase酵素を含む溶液2を混合させる実験を行ったところ、Luciferin-Luciferase反応による発行を確認できた。


バブルポンプの動作原理

バブル型シリンジポンプの模式図と動作の様子

[参考資料] Hiroaki Suzuki, and Rei Yoneyama“Integrated microfluidic system with electrochemically actuated on-chip pumps and valves,”SENSORS AND ACTUATORS B-CHEMICAL 96 (1-2): 38-45 NOV 15 2003