2.―1.新規リン光発光性錯体の合成と応用
   近年、液晶ディスプレーに代わる次世代平面ディスプレーとして有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子が精力的に研究されています。素子の実用化には駆動時間や安定性と共に、省電力化は重要な因子です。最近、EL素子の発光材料として内部量子収率が高く発光効率に優れるリン光発光材料を利用することにより、変換効率の大幅な向上が期待されています。我々は、新規多座配位子の分子設計・調製の観点から新しいリン光発光性有機金属錯体の合成とその基本物性評価を進めています。また、得られたリン光発光性錯体を実装した有機EL素子の特性評価に基づき、新たな有機金属錯体の創製について研究を展開しています。

  
  
  リン光発光錯体の合成と応用
  Pd錯体からのリン光発光
  配位子変換反応の利用
  外部環境応答型リン光発光錯体 
  外部環境応答型リン光発光錯体2
  外部環境応答型リン光発光錯体3
  りん光発光錯体の集積化
  アズレン色素を導入したピンサー錯体
  りん光発光Ir錯体の合成と応用 
  外部からの刺激で発光色が変化する白金錯体 
  配位結合を利用した色素の色調制御 
  環境によって発光色の変わるPt錯体
  
  
これまでの研究を総説にまとめました。(Chemistry Letters,2015, 2, Open access) 
  
  
  

  
2.―2.低環境負荷を指向する錯体触媒の開発
   人類のいかなる生産活動も環境問題と安全性への対応が求められる時代の中、社会ニーズの高い化成品の製造過程においても、環境負荷化学物質の削減や安全性の確保は重要な課題になっています。近年、国内外の化成品製造事業所では、社会との共生を目指した低環境負荷型化学産業の創出を目指す取り組みが益々重要視されています。
 我々は、有機金属化学を基礎として、副生化学物質排出の極小化と安全な製造プロセスの実現を目指す新しい環境調和型触媒の分子設計・開発について研究を展開しています。
   種々の配位子設計を行い、分子設計と触媒機能の関係を系統的に明らかにすることで、高度な環境調和型錯体触媒の設計を目指します。
  
  
  
  
  
シクロメタル化Ru錯体触媒
  触媒活性向上を目指した配位子設計
  これらの研究は、東京工業大学資源化学研究所 小泉武昭准教授と共同で行っています。
  
  安定性と触媒活性を兼ね備えたPd(0)錯体 
  
  