新しい有機ブレンステッド強塩基の設計と機能開発

−新しい有機強塩基触媒の構造デザイン−

 

有機触媒は有機合成において選択的な変換反応を達成するための有力なツールとなりつつあります。有機塩基はその塩基性の強さによって反応性が異なることから、近年、金属性塩基に匹敵するような極めて強い塩基性を示す有機超強塩基が開発され、様々な触媒反応に利用されるようになってきています。

私たちはこれまでの研究において、アミノピリジンユニットの環化三量体が環内での協働効果によって高いプロトン捕捉能を示すことを確認しています(参考)。

ここでは、この環構造にドナーユニットを導入することで、環内の塩基性を強化し、新しい有機ブレンステッド強塩基の構築と強塩基触媒としての機能評価を行いました。

 


塩基性の評価の結果、ドナーユニットを導入することによって1046倍ほど塩基性が向上することが明らかとなりました。さらに、塩基性の向上は、触媒活性の向上にもつながり、Michael付加反応やHenry反応が効率よく進行することを確認しました。

 

Grapycal Abstract

 

今後は、有機塩基の特徴の一つである「分子レベルでの緻密な構造デザイン性」を最大限に利用した有機超強塩基の創製に取り組み、従来のアミン系有機強塩基では達成が困難な新たな触媒反応への展開を目指します。

 

 

研究内容

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