研 究概要: 大規模数値計算によって、原子・分子系のダイナミクス、およびそれら の電磁場との相互作用の理解と制御の研究を行う。特に、時間依存のシュレディンガー方 程式を時間発展の直接解法で解き、強レーザー場における原子・分子の非線形過程や反陽子と原子の衝突などにおけるエキゾティック原子の生成を解明する。さ らに振動磁場などの外場による物理的な過程の制御方法を探索している。

成果: (1) 新しい時間発展の計算方法を開発し、その計算方法を利用し て、反陽子と原子衝突におけるエキゾティック原子の生成過程を解明した。その計算結 果は計画中の反陽子実験に対して、重要な知見を与えた。(2) 強レーザー場における再散乱電子の詳しい情報を初めて量子論 的な数値計で得たその重要な情報は実験では求められず精密な理論計算によってのみ 得られる貴重ものである。この研究結果は再散乱電子を用いた分子構造の解明に重要な寄与をえる。

計画: 今の研究を続けて様々の原子・分子・光に関するダイナミクスを解明し、その理解の上に、外場による物理過程の制御方法を探索する。例えば、適度な 強レー ザー場を利用して、原子の光電離過程の効率的な制御方法を研究する