共役系高分子
共役系高分子とは簡単にいえば、二重結合と単結合とが交互に連なっている高分子のことである。
共役系高分子の炭素はp軌道という電子の存在できる場所が炭素の分子鎖全体に広がっている。
(共役系高分子のπ電子雲が分子鎖全体に広がっている、という)
これら共役系高分子には、面白い特徴がある。共役系高分子を重合してから、何もしないままだと、
π電子達が炭素の分子鎖上に密に詰まっているため、導電性を示さない。しかし、共役系高分子に
化学ドーピングや電気ドーピングをして、密になっているπ電子達から電子を引き抜いてやると、
導電性を示すようになる。その程度は、半導体から金属領域までである。これは、共役系高分子を
デバイスにできるということを意味している。
芳香族共役系高分子
芳香環を主鎖骨格に有する高分子である。分子面に対して垂直にたったπ電子雲を多数有し、それ
らの相互作用により分子間力が高まり、高い熱安定性と強度を持つ。また、モノマーとなる芳香族分
子は、置換基の導入が容易で、分子デザインが自由にできるという利点を持っている。これらのことを
利用して、バッテリー、固体電解コンデンサなどの電子デバイスを始め、その非線形光学特性や蛍光
特性を利用したEL、PL素子などの材料としても注目されている。
らせん状共役系高分子
物質とその鏡像がどのように重ねても一致しないとき、その物質は光学的に活性であるという。その
性質をカイラリティといい、薬や生態系にカイラルな物質はよく存在する。カイラリティを持つ高分子の
代表的な構造としてはDNAのようならせん構造(Fig. 1-2)がある。らせん構造にはこの様なコイル状
のものの他に、Fig. 1-3に示すような芳香環が一方向に徐々にねじれていく分子内らせん構造もある
。芳香族共役系高分子において隣り合う芳香環は、水素原子や置換基同士の反発によって二面角
を持つ。通常、このねじれの向きはランダムだが、なんらかの方法でねじれの向きを一方向に制御
することができれば、主鎖軸に沿ったらせん構造を形成し得る。
Fig. 1-2 らせん構造 Fig. 1-3 分子内らせん構造