◆ 研究テーマ

卒業研究では物質の性質に関するテーマについて理論的手法によって調べています。最近の卒業研究では、強磁性薄膜に電場をかけたときの磁気的性質について数値計算によって調べています。この研究テーマは、スピントロニクスへの応用を念頭においたものです。このような理論的手法による物質科学へのアプローチを理論物質科学といいます。

◆ 理論物質科学

理論物質科学では物質の性質を量子力学に基づき理論的手法によって調べます。理論物質科学と実験物質科学との違いは、理論物質科学ではおもにコンピュータによる数値計算によって物質の性質を明らかにしようとするのに対し、実験物質科学では実験装置を用いて実際の物質の性質を直接測定することによってその性質を明らかにしようとするという点にあります。

◆ 研究室ゼミ

理論物質科学の基礎は量子力学ですので、卒業研究を行うには量子力学についての深い理解が必要不可欠となります。そこで、卒業研究の基礎を固めるために、4月から10月まで量子力学について研究室ゼミで詳しく勉強します。量子力学は学類の3年生で授業がありますが、研究室ゼミという形でさらに深く理解するのが目的です。

◆ 院試の勉強

研究室ゼミに加えて、院試のための勉強を4月からはじめます。これは、単に院試に合格するためという理由からだけではなく、院試の勉強を通して学類で学んだ内容をしっかりと身につけるめです。特に、微分・積分、ベクトル解析、線形代数、力学、電磁気学について系統的に勉強します。これらの知識は、理論研究を行うために量子力学とともに大変重要なものとなります。

◆ コンピュータとプログラミング

理論研究を行うには、コンピュータとプログラミングの知識が必要です。そこで、コンピュータとプログラミングについても習得してもらうことになります。コンピュータは Linux を OS とする自作パソコンを使います。また、プログラミング言語としては C 言語を勉強します。ただし、博士後期課程への進学を希望する場合は、数値計算のためのプログラミング言語である FORTRAN も勉強します。

◆ 卒業論文

卒業論文を書くための計算には4月から取りかかります。計算の内容を理解できるようになるのは量子力学がよくわかってからとなりますが、前もって計算に慣れておくことは卒業研究をスムーズに進めるために大切です。11月の末くらいまでには卒業論文を書くための計算結果が出揃っていることになりますので、12月と1月の2ヶ月をかけてじっくりと卒業論文を書き上げます。