ナノ結晶

材料ナノ結晶材とは粒径がおよそ数〜数十nmであるような多結晶体のことを示します。普段日常で利用されている金属の粒径がおよそ数百μであるので、これを東京ドームに例えると、ナノ結晶はゴルフボール1個程度の大きさでしかありません。では、粒子を小さくしていくといったい何が起こるのでしょう?1辺が1メートルの容器に、ある大きさのボールを詰めていきます。するとボールの径がより小さい方がボールが空気に触れる面積が大きくなります。実はこのことが金属ではとても重要なのです。
金属の表面は格子間の結合が途中で切れていて電子結合的に不安定な状態にあって固体内とは違った物性が発現することが知られています。すると、こういった粒子同士が結晶として安定に存在するためには強引に結合する必要があり、そのため粒子間には原子配列の無秩序な結晶粒界が形成されるのです。当然、こうした結晶粒界を多く含んだナノ結晶に新たな物性が備わっている可能性は大きく、その研究が期待されています。


左図はナノ結晶の模式図です。1つ1つの粒が原子とすると、規則的な配列をしているオレンジの部分は1つのナノ単結晶を表しています。その結晶の間と間の不規則に配列している黄色の部分は結晶粒界を表しています。
結晶全体中で、結晶粒界の体積は10%オーダーの割合を占めています。






左図はナノ結晶の模式図です。1つ1つの粒が原子とすると、規則的な配列をしているオレンジの部分は1つのナノ単結晶を表しています。その結晶の間と間の不規則に配列している黄色の部分は結晶粒界を表しています。
結晶全体中で、結晶粒界の体積は10%オーダーの割合を占めています。

・ガスディポジション法
私達の研究室ではナノ結晶作製法としてガスディポジション法を適用しています。簡単に説明すると左図のように上と下の部屋に不活性ガスを入れ圧力差を作り、下の部屋で融解させた母材の蒸気をその圧力差で出来たジェット気流を利用して上の部屋に飛ばし基盤に蒸着させます。基盤を液体窒素で冷やす理由はナノ結晶が熱による粒成長を起こさないようにするためです。


・スパッタ法
もう一つのナノ結晶作製法としてスパッタ法を簡単に説明します。スパッタ法は不活性ガスで満たされた部屋の中で母材にアルゴンレーザーを照射することによって母材の一部を蒸発させその蒸気を基盤に蒸着させます。この方法は薄膜作成にも利用されている方法です。