物質設計概念と研究テーマ


ナノ構造制御、 秩序・無秩序制御、 次元制御 の物質設計概念に基づき、
新しい光機能性を有する次世代マテリアルの物性研究、開発を行なっています。



ナノ構造制御 物質のサイズがナノメートルオーダーになると、
今まで大きなサイズでは現れなかった物性が発現します。
このような量子サイズ効果を利用した新機能材料が期待されています。
ナノ構造の作製には大きく分けてトップダウン方式と、
ボトムアップ方式の2種類があります。
対象物質 半導体ナノ結晶
(GaSe、CdS、InS、InSb、Se、等)
フラーレン、ナノチューブ
物性的興味 ナノスケール構造体に特有な現象の出現
   ・量子サイズ効果による電子状態、励起子状態、格子状態の変化
   ・非線形光学効果の増大、
   ・特異な相安定性と相転移 等
応用的興味 ナノテクノロジー、微小メモリ素子、
高速スイッチング素子、光コンピューティング素子、低閾値レーザ素子
作製方法 コロイド法、逆ミセル法
研究テーマ
◆フラーレンウィスカーとフラーレンナノチューブの光学的性質
毛利崇希(M2) 和久井健司(M2)
C60分子はそのものが量子ドットであり、C60結晶は
それらが規則的に配列した構造をとります。光照射により
フラーレンの二重結合が切れ、重合化が起きたり、
熱によってフラーレンネットワークの形成が起きたりします。
高圧物性、不純物添加効果、光照射効果を主に調べています。
◆カーボンナノチューブの作製と太陽電池デバイスへの応用
金属カーボンナノチューブと半導体カーボンナノチューブの分離精製を行い、太陽電池への応用を目指して基礎物性の理解とデバイス構造の開発を目指している。
半導体ナノ結晶の作製と配列・高圧下光学的性質

ナノ結晶(量子ドット)はサイズ効果により通常の結晶であるバルクとは
異なる光学応答を示します。
我々のグループではコロイド法によりサイズ分布の少ない良質なナノ結晶を作製し、
温度・圧力・磁場など外場による光物性チューニングの研究を行っています。
またナノ結晶の3次元超格子構造を作製しその光物性の研究も行っています。




秩序・無秩序制御 結晶相とは異なり、非晶質は、様々な状態を取りうることが可能です。
特にカルコゲナイド非晶質半導体は、光による状態変化(光誘起現象)が顕著で、
光結晶化、光構造変化、光屈折率変化、など興味深い物性が現れます。


光構造変化・光結晶化

対象物質 カルコゲナイド非晶質半導体
   (As-S系、As-Se系、Ge-S系)
希土類添加カルコゲナイド系非晶質半導体
   (Ge-Ga-S:Nd、Sm、Er)
物性的興味 ・不規則な原子配列
   (中距離秩序、メソスコピック構造)
・熱力学的非平衡性
   (アモルファス化、結晶化、構造変化)
・多様な光誘起現象
   (光構造変化、光体積膨張、光屈折率変化、フォトドーピング、
     フォトダークニング、フォトブリーチング 等 )
・希土類元素等の添加効果
   (f-f遷移に現れる希土類周辺配位子の効果、
希土類-母体カルコゲナイド間のエネルギー移動)
応用的興味 ・太陽電池
・光メモリ素子(DVD等)
・光スイッチング素子 
・能動性光ファイバ
  (赤外光域の光増幅)
           等
作製方法 融液凍結法、真空蒸着法
研究テーマ
カルコゲナイド系非晶質半導体の光物性及び構造状態
カルコゲナイド系非晶質半導体は、その構造柔軟な性質のため、 光、熱、圧力などにより、ミクロな構造変化(欠陥生成、ボンドスイッチング等) ナノスケールの構造変化(中距離秩序)、 及び、マクロな変化(体積膨張)を伴う興味深い材料です。 特に光による様々な物性変化(光誘起現象)については、 不明な点が多く、今もなお様々な議論が続いています。
また、応用的にも注目を集めており、DVDの記録面や 能動性光ファイバーなどに応用されています。
現在、我々の研究室では、希土類添加カルコゲナイド非晶質半導体の研究と As50Se50 の高温高圧物性の研究を行っています。




次元制御 ナノ構造の次元を制御することで、次元に応じたナノ構造物性が発現します。
量子ドット(0次元系)、量子細線(1次元系)、量子井戸(2次元系)、バルク(3次元)と
それぞれ、異なる物性が現れます。
ペロフスカイト構造
対象物質 低次元鉛ハロゲン系有機無機ペロフスカイト型半導体
((CnH2n+1NH3)2(CH3NH3)m-1PbmI3m+1)など

物性的興味 有機部・無機部のサイズと次元を制御
ハロゲンの置換(I,Br,Cl)
⇒吸収・発光帯を可視光全領域内で調節できる。
   (バンドギャップエンジニアリング)
⇒エキゾチックな励起子状態が出現
   (エキシトニックス)
応用的興味 光機能性素子への応用
   ・発光素子
   ・レーザー素子
   ・センサー(シンチレーション等)
   ・超高速光素子  等
作製方法 溶液法
研究テーマ
◆ 低次元鉛ハロゲン系有機無機ペロフスカイト型半導体の光物性

溶液法によって、自己組織化により、有機無機複合型の半導体を作製します。 作製条件を変えることで、0次元、1次元、2次元と無機部の配列の次元制御が可能であり、 ナノ構造物性に起因した応用が期待されます。
◆分子超格子デバイスの作製と評価
有機ー有機および有機ー無機の分子層を1層1層で積層させた分子性超格子を作製しそのデバイス物性(基礎伝導、光応答、光機能)を評価している。 有機デバイスに代表される分子デバイス素子の1分子層レベルでのキャリアダイナミクスの基礎理解と光機能の探求をしている。
◆ナノシート超格子の作製と光物性

Soft Colloidal Template Methodによりナノシート超格子を作製しています。
有機層への機能性有機分子導入や、無機層への遷移金属ドープによる
新規光物性の発現や光物性の変化を調べています。

その他、国内外の研究機関との共同研究も行っています。
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