筑波大学 数理物質科学研究科
鈴木・福田研究室
集積化化学センシングシステム (Chemical IC)
研究目的
μTASと呼ばれる微小化学分析システムの研究は世界中で活発に行われています。しかし、その多くはマイクロポンプの研究、マイクロセンサの研究と各素子ごとを個別に研究している例がほとんどです。そこで本研究では、エレクトロウェッティングを利用した微小送液機構と電気化学的原理に基づく化学センサを集積化することで、試料の送液・混合・検出をワンチップ上で行うChemical ICの開発を目的としました。
研究内容
左の図は実際に構築したセンシングシステムを示しています。サイズはわずか15mm×15mmと切手以下のサイズですが、この上には「送液機構」「混合機構」「センシングシステム」が集積化されています。測定対象は「グルコース」「ラクテート」「GOT活性」「GPT活性」「pH」「アンモニア」「尿素」「クレアチニン」の8項目で、1滴にも満たないわずか3μlのサンプルからこれらを測定することが可能です。左は実際にチップ上で測定したGOT/GPT活性の検量線を示しており、血液中で観察されうる濃度範囲を十分に測定できることも確認済みです。この他の各センサで実際の血液が取り得る範囲を測定できることを確認しました。このように、エレクトロウェッティングと電気化学センサを組み合わせることで、集積化化学センシングシステム(Chemical IC)を実現することができました。
構築した Chemical IC
GOT-GPT
GOT/GPT活性測定の検量線
jsps
参考資料: W. Satoh, H. Hosono, K. Morimoto, H. Yokomaku, and H. Suzuki, "Highly sophisticated Electrochemical Analysis  system with an
 Integrated Microfluidic System Based on Electrowetting," Proceedings of The 5th IEEE Conference on Sensors, Daegu, Korea, Oct (2006)
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